64日目

2020年5月9日。

寝室に黄色く暖かな光が差し込み、夜の湿ったひんやりした空気が和らいでいくのを感じながら、眩しさに目が覚める。

時刻は6時半。

いつもより少し遅い。

昨日はお菓子をたくさん食べてしまったせいか、夕食後猛烈な疲労感に襲われた。

それが睡眠に功をそうしたのか、よく眠ることができた。

不意に枕の下に手を突っ込むと右手に何かが這う感覚を得る。

嫌な予感がして眠い目を擦りながら、目を開けると蟻がいた。

周囲を探すと計5匹見つけ、駆除する。

すっかり目が覚めてしまったので、朝食の準備に取り掛かろうとキッチンへ向かう。

キッチンの片隅に蟻対策用の駆除剤を置いている。

これは遅発性の毒餌で、蟻が餌を巣に持ち帰り食べる頃には死ぬ仕組みだ。

寝室の状況を考えると、ここにもたくさんいるかもしれないと思い目をやると、今まで一番ではないだろうか。

無数の蟻が行き来していた。

見るだけでもおぞましいが、餌のある一角はダンボールで仕切ってあるので、いわば虫かごのような状態で、そこから外に出てくることはあまりないため安心していた。

しかし数が多いからか、寝室にも出没したし作業台や引き出し、浴室にも姿を見せた。

できることなら家中消毒して、全滅させてやりたいくらいだ。

早く餌が効果を表すといいのだが、一進一退の状況が続いている。

悩みは尽きない。


気を取り直して、朝食作りを始める。

本日のメニューはクレープだ。

幼い頃、休日の朝に母がよくクレープかホットケーキを作ってくれた。

甘党の私にはたまらない朝ごはんで、アイスや生クリーム、ジャムを包んで何枚も食べた。

成人して家を出てからは、作ることも食べることもなかったが、毎日自分で食事を作るようになると変化が欲しくなるもので、クレープを作ることを思いついた。

クレープの生地は前日から仕込む。

仕込むといっても簡単な作業で、cake flour、牛乳、油脂、卵をだまにならないように混ぜて冷やすだけだ。

昨晩この工程を済ませておいた。

冷蔵庫から取り出した生地は、多少のダマはあるがうまくできていた。

焼く工程も薄く広げることができずに枚数が減ってしまったが、破れることもなく成功した。

中に詰めるフィリングは朝ごはんとしてのクレープであることを意識して、ツナと卵サラダにした。

ようやく準備を終えた頃、パートナーがダイニングに顔を出したので、いただくことにした。

パートナーは大抵美味しいと言ってくれるが、これも美味しいと喜んでくれた。

自分のために食事を作るのは何も楽しくないが、やはり喜んでくれる人がいると励みになる。

思い返せばマラソンも勉強も、誰かが応援してくれるから頑張れた。

私は物事を応援されるか、つまりは行為について他人の承認と称賛が動機になっていることに気がついた。

動機が他者にあるため、行為の結果認めらるものでなければできないのだ。

これはアドラーに言わせると良くないことだ。

価値判断の基準が自分が必要かどうかという本質からずれて、必要であっても相手に承認と賞賛されないものはできなくなってしまう。

価値判断の基準は自分が幸せになるために必要かどうかだと思う。

他人ではなくて自分がというところがポイントだ。

そこを意識して本質ずれずに判断ができるようになろう。

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